【医師監修】ピコスポット後にかさぶたにならないのはなぜ?黒いままでも大丈夫か・対処法も紹介
2025.04.17NES駒沢クリニックからのお知らせ

ピコスポット治療後に「かさぶたができないのはどうして?」「黒いままでも問題ないの?」と不安に思う方は多いのではないでしょうか。
ピコスポットは従来のレーザー治療とは異なり、極めて短いパルス幅(ピコ秒)でメラニンを破壊します。皮膚への熱によるダメージが少なく、かさぶたができにくい治療です。本記事では、ピコスポット後にかさぶたにならない理由、対処法、治療後の経過などについて詳しく解説します。
ピコスポット後にかさぶたにならない&黒いままでも大丈夫?
ピコスポットは1兆分の1秒(ピコ秒)という超短時間でレーザーを照射し、メラニンを破壊します。熱によるダメージが少なく、従来のレーザーと比べてかさぶたができにくいことが特徴です。
研究によると、ピコスポットレーザーはナノ秒レーザーと比較し、より短い時間で高いエネルギーを皮膚に照射するため、色素沈着を細かく破壊することが分かっています。表皮への熱ダメージが軽減されるため、炎症反応が少なくなり、かさぶたができにくい傾向があることが報告されています。[1]
また、ピコスポット後にシミが黒く見えることがありますが、メラニンが破壊され皮膚の代謝によって排出される過程で起こる正常な反応です。研究によれば、ピコ秒レーザー治療後に色素が一時的に暗くなり、その後1~2ヵ月かけて薄くなっていくことが確認されています。[2]
ピコスポット治療後にかさぶたにならない時の対処法
ピコスポット治療後にかさぶたにならないのは、正常な反応です。肌の回復を促すため、以下のようなスキンケアを実践しましょう。
ただし、効果の実感には個人差があります。肌の変化が見られない、効果が不十分と感じる場合は追加治療が必要なケースもあるため、まずは医師に相談してみてください。
紫外線対策を徹底する
紫外線を浴びると、治療部位に炎症後色素沈着が起こるリスクがあります。日焼け止めを塗ったり、外出時は帽子や日傘を使用したりするなど対策し、直射日光を避けましょう。
保湿ケアをしっかり行う
治療後の肌は乾燥しやすいため、セラミドやヒアルロン酸が配合された低刺激の保湿剤で乾燥を防ぐことが大切です。アルコールやピーリング成分が含まれている化粧品は避けましょう。
刺激を与えない
治療後の肌は、デリケートな状態になっています。ゴシゴシこすらずやさしく洗い、タオルでそっと押さえるように拭きましょう。治療当日はメイクを避ける必要がありますが、翌日からは可能です。
美白クリームと美白内服を併用する
レーザーだけでは効果は限定的です。効果を最大限にするためにも、美白クリームやビタミンC、ビタミンE、トラネキサム酸といった美白内服を併用をしてください。
ピコスポット後のかさぶたは何日目にできる?
ピコスポット後のかさぶたの形成には、個人差があります。一般的には、治療後2~5日後以内に現れることが多いと報告されています。[3]
ただし、ピコスポットは皮膚への熱ダメージが少ないため、かさぶたができにくいです。皮膚の代謝によって少しずつ色素が排出されるため、かさぶたができなくても正常な治癒過程であると考えられています。
ピコスポット治療後にかさぶたにならない3つの理由
ピコスポット治療後にかさぶたにならないのは、レーザーの特性と皮膚の反応に関係があります。
1.皮膚への熱ダメージが少ない
ナノ秒レーザーは比較的長時間にわたり熱エネルギーを皮膚に与えるため、かさぶたができやすいです。一方、ピコ秒レーザーは光音響効果によってメラニンを微細な粒子に砕くため、皮膚の損傷を抑えられることがわかっています。[1]
2.メラニンの分解が穏やかに進む
ピコスポットは破壊されたメラニン色素が自然な代謝で排出されるため、炎症性の損傷が起こりにくいことが特徴です。そのため、かさぶたの形成が少なくなります。[3]
3.レーザーの照射強度の影響
レーザーの設定(出力・パルス幅・スポットサイズ)によっても、かさぶたができない場合があります。たとえば、高出力で照射すると皮膚の反応が強くなり一時的にかさぶたができることもありますが、低出力で適切に照射した場合は皮膚への負担が少なく抑えられることが分かっています。[4]
ピコスポットの主な効果
シミ・そばかすの改善
ピコスポットはメラニン色素をターゲットにし、光音響効果によって細かく砕くことで色素沈着の原因となるメラニンを排出し、シミやそばかすを改善する効果が期待できます。
とくに、従来のレーザー治療では難しい肝斑の治療にも使用されています。研究によると、ピコ秒レーザーを使用した肝斑治療(ピコトーニング)では、メラニンの減少が見られ、肌の明るさが向上したと報告されました。[4]
くすみの改善
ピコスポットはシミやそばかすの改善だけでなく、肌全体のくすみ改善が期待できます。研究によれば、ピコ秒レーザー治療後、肌のトーンアップ効果が確認され、肌の明るさが向上した症例が報告されています。[5]
ピコスポットの効果については「ピコスポットは目の周りのシミやくすみに効果がある?効果や施術回数について」でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。
ピコスポット治療後の経過
ピコスポット治療後の経過には個人差がありますが、ここでは目安となる時期を紹介します。
- 治療直後:患部に一時的な白み、赤みや腫れが出ることがある
- 1~2日後:赤みや腫れが落ち着くことが多い
- 3~4日後:照射部位に薄いかさぶたができる
- 5~6日後:しっかりとしたかさぶたができる
- 1~2週間後:自然にかさぶたが剥がれ新しい皮膚が現れる
- 1~3ヵ月後:メラニンが体外へ排出され、シミや色素沈着の改善が実感できる
研究によれば、ピコ秒レーザーの効果は1ヵ月後から現れ、3ヵ月後には多くの患者においてシミや色素沈着が改善されたことが報告されています。[2]
ピコスポット治療後の経過については「ピコスポット後の経過は?1週間後はどうなる?」でも詳しく解説していますので、参考にご覧ください。
症例
治療内容・回数 | ピコスポット当て放題(シミ取り放題)1回美白内服セット、ハイドロキノンクリーム、トレチノインクリーム |
費用 | ・ピコスポット当て放題 99,000円(税込)・美白内服セット1か月分 7,700円(税込)・ハイドロキノンクリーム5g 2,200円(税込)・トレチノインクリーム0.025%5g 3,300円(税込) 合計金額 112,200円(税込) |
副作用・リスク | 痛み、熱傷、色素脱失、色素沈着、水膨れ |
担当医師コメント | 他院で肝斑を指摘されたが、シミが目立つためピコスポットをご案内しました。かさぶたが剥がれた後はピンクになり、1か月後に色素沈着がでました。 肝斑の予防と色素沈着の治療としてシミクリームの外用と、内服セットを頑張って継続いただきました。4か月後には色素沈着もおさまり、肝斑も薄くなり大変ご満足いただきました。 |
治療内容・回数 | ピコスポット当て放題2回 |
費用 | 1回目99,000円(税込)、2回目55,000円(税込) 合計金額 154,000円 |
副作用・リスク | 痛み、熱傷、色素脱失、色素沈着、水膨れ |
担当医師コメント | しみ、そばかすがお悩みでご来院されました。1回目の照射から3か月後に2回目の照射をおこない細かく薄いそばかすも綺麗になりご満足いただきました。 |
治療内容・回数 | ピコスポット当て放題1回 |
費用 | 99,000円(税込) |
副作用・リスク | 痛み、熱傷、色素脱失、色素沈着、水膨れ |
担当医師コメント | この方は、たくさんある老人性色素斑とそぼかすを気にされ、ダウンタイムはあってもよいから早くきれいになりたいとの希望でした。ピコスポットはダウンタイムのあるレーザー治療になりますが効果は抜群です。 写真をみると、3か月後には濃いシミがほとんどなくなっています。当て放題ではありますが、医師の判断で照射をしない部分もあります。 レーザー照射後、シミは一時的に濃くなり、1~2週間で薄いかさぶたが剥がれることで効果を実感します。その後も適切なケアが大事になりますので、担当医師のアドバイスを参考にしてください。 |
当院におけるピコスポット治療の流れ
ネス駒沢クリニック 形成外科・皮膚科・美容のピコスポット治療の流れは、以下のようになっています。
- カウンセリングと診察:医師がお肌の状態を確認し治療の適応を判断、患者さまのお悩みやご希望を詳しく伺い適切な治療プランをご提案
- 治療当日:必要に応じ麻酔クリームを使用し、レーザー照射する
- 治療後のケア:照射後は肌をクーリング、注意点をアドバイスする
ピコスポットはダウンタイムが比較的少なく、そのまま帰宅可能なため、日常生活への影響も少ない治療です。
ピコスポットの費用
ピコスポットは、公的医療保険ではなく、自由診療(自費診療)で実施します。
シミ・そばかすの大きさ | 価格 |
5mm以下(1個につき) | 5,500円(税込) |
6~10mm(1個につき) | 8,800円(税込) |
11~20mm(1個につき) | 15,400円(税込) |
ADM(全顔1回) | 33,000円(税込) |
シミ取り放題全顔1回目 | 99,000円(税込) |
シミ取り放題全顔2回目(初回から半年以内) | 99,000円(税込) |
ピコスポットに関するよくある質問
Q. ピコスポットは1回の治療で効果がありますか?
A. シミの種類や肌質にもよりますが、1回の治療で効果を実感できる場合もあります。当院の場合、1〜3回で効果を実感する方が多いです。
ただし、肝斑やADM(後天性真皮メラノサイトーシス)などの深い色素沈着の場合、数回の治療が推奨されています。医師と相談しながら、適切な回数の治療を受けることが大切です。
ピコスポットの平均的な回数については「ピコスポットの料金について。平均的な回数や、他の施術との料金比較も」でも詳しく解説していますので、こちらも参考にしてみてください。
ピコスポット治療をお考えの方はネス駒沢クリニック 形成外科・皮膚科・美容へ
ピコスポット後にかさぶたができないのは、レーザーの特性による正常な反応です。シミやそばかすなどに効果が期待でき、ダウンタイムも少ない点が魅力といえるでしょう。
治療後は紫外線対策や保湿ケアを行うことで、より良い効果を得られます。治療後の不安がある方は、まずは当院までお気軽にご相談ください。
当院の受診方法はこちらをご確認ください
【ネス駒沢クリニック 形成外科・皮膚科・美容|吉武光太郎 監修】
副作用・注意点
禁忌
- 妊娠中・授乳中の方
- 光過敏症の方
- てんかん発作の既往歴がある方
- 重度の糖尿病の方
- 施術前に日焼けをしている方
- 日焼けをする予定がある方
- 心臓のペースメーカーを使用している方
- 慢性疾患がある方
副作用
痛み、赤み、熱感、色素沈着、色素脱失、毛嚢炎、水疱形成、肝斑の悪化
注意事項
- ダウンタイムは約2週間です。ダウンタイム中は、患部をテープで保護してください。テープは薄橙色のため、肌に貼ってもあまり目立ちません。
- 施術後には痛み、赤み、熱感が出るかもしれません。通常は1~2日で治まります。
- 色素沈着が起きることもあります。通常、3~6か月で目立たなくなります。
- 施術後のカサブタは、無理にはがさないでください。
- 患部への刺激を避ければ、メイクや洗顔は当日から可能です。
- 施術直後から外出できますが、保湿や紫外線対策を忘れずにしましょう。
- シミの状態によっては、1回の治療で除去できない可能性があります。
- 肝斑の治療には向いていません。
<ピコシュアについて>
・未承認医薬品等(異なる目的での使用)
ピコシュアは医薬品医療機器等法において、太田母斑、異所性蒙古班の治療について承認されていますが、その他の治療については国内で承認されていません。
・入手経路等
国内の医薬品卸業者より国内の承認機器を仕入れています。
・国内の承認医薬品の有無
国内で同程度の効能・効果で承認されている国内承認医薬品薬剤はありません。
・諸外国における安全性などに係る情報
米国FDAにて色素性病変(シミ・肝斑等)・しわ・にきび跡に関する承認を受けています。
医薬品副作用被害救済制度について
万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
<参考文献>
[1]Lipp, M., Angra, K., & Wu, D. C. (2020). Safety and Efficacy of a Novel 730 nm Picosecond Titanium Sapphire Laser for the Treatment of Benign Pigmented Lesions. Lasers in Surgery and Medicine.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32869883
[2]Dong, W., Wang, N., Yuan, X., & Zhang, W. (2020). Treatment of pigmentary disorders using picosecond laser in Asian patients: A meta‐analysis and systematic review. Dermatologic Therapy.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33368885
[3]Koren, A. et al. (2019). A 1064-nm Neodymium-doped Yttrium Aluminum Garnet Picosecond Laser for the Treatment of Hyperpigmented Scars. Dermatologic Surgery.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30882504
[4]Pimentel, B. et al. (2023). Use of Picosecond Laser for Melasma Treatment: A Narrative Review. Photobiomodulation, Photomedicine, and Laser Surgery.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38085187
[5]Lin, E. T. et al. (2020). Photoaging Reversibility in Asian Patients With Melasma Treated Using Picosecond Lasers With Diffractive Lens Array: A 1-Year Prospective Observational Cohort Study. Dermatologic Surgery.