
尋常性乾癬とは?(疾患概要)
尋常性乾癬は、皮膚の慢性的な炎症性疾患であり、乾癬(かんせん)の中で最も患者数が多いタイプです。感染症ではないため、人にうつることはありません。
主な症状と特徴

乾癬の皮疹は、主に以下の4つの特徴的な症状で構成されます。
- 紅斑(こうはん):皮膚が赤く変色し、毛細血管の拡張や充血により炎症が起きている状態です。
- 浸潤・隆起(しんじゅん・りゅうき):皮膚が積み重なり、周囲の皮膚よりも盛り上がって厚くなります。これは、皮膚の細胞(表皮細胞)が通常より異常に速いスピードで増殖しているために起こります。
- 鱗屑(りんせつ):盛り上がった皮膚の表面に付着する、銀白色でカサカサとしたフケのようなかさぶたです。異常増殖した細胞が未熟なまま剥がれ落ちたものです。
- 掻痒(そうよう):約半数の患者さんでかゆみを伴います。かゆみが強いため、掻きむしって悪化させてしまうこともあります。
好発部位
日常的に摩擦や刺激を受けやすい部位に出現しやすい傾向があります。
- 頭皮、髪の生え際
- 肘、膝(特に外側)
- 腰、お尻、すね
また、爪の変形(点状のくぼみや剥離)や、関節の痛みや腫れを伴う「乾癬性関節炎」が併発することもあります。
尋常性乾癬の原因
乾癬が発症するメカニズムは複雑ですが、現在では「遺伝的素因」を持つ人に、「環境要因」が加わることで、体の「免疫システム」に異常が生じ、発症すると考えられています。
✔️遺伝的素因
乾癬になりやすい体質(遺伝的素因)があることが分かっています。家族に乾癬の人がいる場合、発症リスクは高まりますが、親から子へ必ず遺伝する**「遺伝病」ではありません**。
✔️環境要因・悪化因子
乾癬の症状を誘発したり、悪化させたりする主な要因は以下の通りです。
- 感染症:特に扁桃炎などの上気道感染症が引き金となり、「滴状乾癬」として発症し、後に尋常性乾癬に移行することがあります。
- ストレス・疲労:精神的、肉体的なストレスや疲労は、免疫バランスを崩し、症状を悪化させます。
- 物理的な刺激:皮膚を強く掻いたり、擦ったり、日焼けなどの外傷を受けた部位に、乾癬の皮疹ができることがあります。
- 生活習慣病:肥満、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)などのメタボリックシンドロームとの関連が深く、症状を悪化させる一因となります。
- 薬剤、喫煙、過度の飲酒
✔️免疫の異常(病態の中心)
乾癬は、免疫システムが暴走することで起こります。本来、体を守るべき免疫細胞が異常に活性化し、炎症を引き起こす物質(サイトカイン、特にIL-17やTNF-αなど)を過剰に産生します。
これらのサイトカインの働きにより、皮膚の細胞の増殖が異常に加速され、炎症と皮疹が発生します。
尋常性乾癬の治療法
乾癬の治療は、症状の重症度、皮疹の部位、患者さんのライフスタイルや合併症の有無などを考慮し、いくつかの治療法を単独または組み合わせて行われます。
・外用療法(塗り薬)
軽症〜中等症の乾癬に対する治療の基本です。
| 種類 | 作用 | 特徴 |
| ステロイド外用薬 | 皮膚の炎症を強力に抑える。 | 比較的速効性がある。長期間広範囲に使用すると副作用に注意が必要。 |
| ビタミンD3誘導体外用薬 | 皮膚細胞の異常な増殖を抑える。 | 長期使用が可能。刺激感が出ることがある。 |
| 配合剤 | ステロイドとビタミンD3誘導体の両方を配合。 | 炎症を抑えながら増殖を抑制する効果が高く、多くの患者さんに使用される。 |
・光線療法(紫外線療法)
特定の波長の紫外線を患部に照射し、異常な免疫反応や細胞増殖を抑える治療法です。
- ナローバンドUVB
- エキシマライト(ターゲット型)
週に1~3回程度の頻度で通院して行います。外用薬のみで効果が不十分な場合や、広範囲に皮疹がある場合に有効です。
・全身療法(内服薬・注射薬)
外用療法や光線療法で十分な効果が得られない中等症〜重症の患者さんに対して選択されます。
① 内服薬(飲み薬)
- レチノイド(ビタミンA誘導体): 皮膚の角化異常を改善します。
- 免疫抑制剤: 異常に活性化した免疫細胞の働きを抑制します。
- PDE4阻害薬: 炎症経路を調整し、炎症を抑制します。
② 生物学的製剤(注射薬・点滴)
バイオテクノロジーを用いて作られたタンパク質で、乾癬の病態に関わる特定のサイトカイン(TNF-α、IL-17、IL-23など)の働きをピンポイントでブロックします。
- 高い有効性が期待でき、難治性の乾癬や乾癬性関節炎の治療を大きく変えました。
- 投与方法は皮下注射(自己注射が可能なものもある)または点滴で、数週間から数ヶ月に一度の間隔で投与します。
- 治療費は高額になりますが、高額療養費制度の対象となります。
尋常性乾癬治療についてよくある質問
乾癬は人にうつりますか?
うつりません。乾癬は感染症ではなく、免疫システムの異常による慢性的な炎症性疾患です。
乾癬は完全に治る病気ですか?
完治は難しいですが、症状をコントロールできます。 適切な治療で皮疹のない状態を長く維持することが可能です。
症状が良くなったら治療をやめてもいいですか?
自己判断で中断しないでください。 症状が改善しても再燃しやすいため、医師の指示に従い維持療法を継続することが大切です。
乾癬は遺伝しますか?
遺伝しやすい体質はありますが、必ず発症する「遺伝病」ではありません。 遺伝的素因に環境要因が加わって発症します。
まとめ
尋常性乾癬は、見た目の問題や痛み、かゆみから患者さんの精神的・肉体的負担が大きい病気です。しかし、医学の進歩により、特に生物学的製剤の登場以降、症状をコントロールし、以前と変わらない生活を送れる可能性が高くなっています。
「治らない病気」と諦めず、まずは専門的な知識を持った皮膚科医に相談し、ご自身に合った治療法を見つけることが大切です。
当院では、最新の知見に基づいた治療と、患者さんの心に寄り添ったサポートを提供しています。気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。
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