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粉瘤が大きくなる理由やリスク・治療法を徹底解説!

2025.04.17粉瘤の治療

「背中にコリコリとしたできものがある」「以前からあったできものが大きくなった気がする」などのお悩みはありませんか?粉瘤と呼ばれるできものは、皮膚下の袋状になった構造物の中に皮脂や角質が溜まってできた良性腫瘍の一種です。

今回は、粉瘤が大きくなる原因や粉瘤を放置するリスク、大きくなったときの治療法や当院の治療法などをご紹介します。

粉瘤が大きくなる原因

粉瘤が大きくなる原因は、時間と共に皮膚の下にできた毛穴の袋に角質などが溜まり大きくなることです。自然治癒することがないため、時間と共に大きくなり10cmを超える大きさになる場合もあります。

粉瘤とは、皮膚の下に袋状の構造物ができ、皮脂や角質が溜まってできた良性腫瘍のことをいいます。粉瘤の中でも最も発生しやすいものが表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)と呼ばれる腫瘍です。

表皮嚢腫は真皮から皮下にかけて袋状のものを形成し、その中に角化物が入り込んで形成されます。また、粉瘤が細菌感染を起こしたものを炎症性粉瘤といいます。

良性の腫瘍ではありますが、粉瘤の大きさや症状によっては治療が必要な場合があります。1)

放置したらどんなリスクがある?

粉瘤は自然治癒することがないため、時間の経過とともに大きくなります。大きくなると、痛みを伴う、破裂をして傷跡が残りやすくなる、痛みや違和感を伴うようになるなどのリスクがあります。

化膿して炎症性粉瘤になった場合は、炎症のある粉瘤は当日の切除手術はせず、炎症後2カ月以降での切除か、炎症が起こる前に切除することをお勧めしています。粉瘤の膜と正常組織との境がはっきりしなくなるため、粉瘤の本体の膜を取り残し再発する可能性が高くなるためです。また、炎症物質が周囲に及んでおり傷が開きやすくなること、手術跡が大きくなる可能性もあります。1)

また炎症を起こした後だと、くり抜き法による手術ができません。炎症が起こる前だと、くり抜き法で傷を最小限にした手術を行えます。

粉瘤が大きくなってから手術をすると、より傷跡が大きくなり痛みも伴いやすくなります2)。炎症のリスクを避け、手術跡を小さくするためにも放置をせず早めの治療を行うことがおすすめです。

治療すべき症状

痛みや違和感 

一般的に粉瘤が破裂するまで無症状ですが、破裂すると炎症や痛みを伴うことがあります2)。また圧迫痛などいつもと違う違和感がある場合、以前よりも粉瘤が大きくなってきたサインです。

感染

粉瘤が赤く腫れて熱をもち、膿がある場合は感染しているおそれがあります。

急激に大きくなったとき

粉瘤の大きさは通常1~5cm程度で、ほとんどの場合、5cm以上には成長しません3)。通常、粉瘤はゆっくり時間をかけて大きくなりますが、突然大きくなった場合は粉瘤ではない疾患か、炎症が起きて腫れ上がっている可能性があるため、早めに受診することが望ましいです。

以上の症状がある場合は、早めの受診をおすすめしています。

大きくなった粉瘤の治療法

直径2〜3cmを超える大きさの粉瘤は、切除手術をします。また炎症を起こして大きくなっている場合は、炎症が治まってから2ヵ月後ほどで切除手術をします。

切除法は、局所麻酔後に紡錘形にメスで皮膚を切り、袋ごと粉瘤を除去し、皮膚を2段階にわけて縫合する方法です。(傷の中側と外側を手術用の糸で縫合します。) 

1週間前後に抜糸をしますそれまでは手術創を泡石鹸で撫でるように洗浄し、ガーゼ保護をする処置を1日1回行なっていただきます。

傷痕のサイズはくり抜き法よりは長くなりますが、一本の線状に治るため目立ちにくく、生傷も早く治ります。手術痕が目立たなくなるまで約6ヵ月ほどかかります。

傷跡が治りきるまでの期間はくり抜き法と変わりありません。

当院の粉瘤治療の特徴

手術

皮膚を切る方向や扱い方、縫い方それぞれに対して専門的な知識と技術で対応します。粉瘤の大きさや部位、炎症の有無など、さらには患者様の社会的背景などを総合的に踏まえ、手術を行います。

日帰り手術

局所麻酔時は細い針を使用し、麻酔時の痛みをできるだけ少なくする工夫をしています。また可能な範囲内で小さく切開し、傷跡を少なくできるように心がけています。しかし、傷が小さいから良いというわけではありません。

炎症がある粉瘤

再発の可能性や手術跡の大きさなどを考慮し、炎症があるうちの手術は推奨していません。

くり抜き法

炎症を一度も起こしたことがない粉瘤に関しては、くり抜き法を行っています。くり抜き法はパンチやメスで小さく皮膚を切り取って粉瘤の内容物を押し出し、被膜を除去する方法です。

当院の粉瘤施術について、詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。

治療の流れ

1.粉瘤の周辺にマークをつけます。

2.局所麻酔後、極力小さく皮膚切開します。

3.粉瘤を切除後、2層に縫合する。30分程度の日帰り手術です。

4.約1週間後に抜糸します。

費用

粉瘤の手術は保険適用です。サイズによって費用は異なります。

一番小さいサイズ(顔は2cm未満、体は3cm未満)で3割負担の場合、当日は1万円前後のお支払いになります。

よくある質問

Q. 手術時の痛みはありますか?

A. 局所麻酔時に針を刺すときの痛みを感じることがありますが、手術中はほとんど痛みを感じません。麻酔が切れたら、痛みが出てくることが多いですが、痛みの感じ方には個人差があります。

Q. 痛みがあっても、手術はできますか?

A. 痛みがある場合は、炎症を起こしている可能性が高いです。皮膚を切開し膿を排出することをおすすめします。

Q. 再発はしませんか?

A. 粉瘤を被膜ごと取り切ることができれば、再発はありません。

気になる粉瘤がある方は、ネス駒沢クリニック 形成外科・美容へ

粉瘤は内容物が時間をかけて少しずつ溜まっていくため、自然治癒することはありません。放置した場合は痛みや不快感が出てくる場合があり、炎症を引き起こすこともあります。

また急激に大きくなってくる場合もあるため、早めに医療機関を受診しましょう。

当院では形成外科専門医による日帰り手術を行っています。気になる粉瘤がある方は、当院へお気軽にご相談ください。

ネス駒沢クリニック 形成外科・美容 院長:吉武光太郎 監修

<参考文献>

(1)帆足俊彦.外来でよく見る子どもの皮膚疾患.表皮嚢腫・石灰化上皮腫.小児内科.東京医学社.1405-1408.2022.54(8)

(2)Epidermal Inclusion Cyst
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30335343

(3)Epidermal cyst protruding from the occipital region of the scalp: a case report
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38098565

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