ネス駒沢クリニックからのスタッフコラムColumn

イソトレチノインの「毛穴」への効果とは?

2025.11.17ニキビ

〜皮脂・詰まりへのアプローチと治療の実際〜

鏡を見るたびに気になる、ぽっかり開いた毛穴、黒ずんだ毛穴、皮脂によるテカリ…。 ピーリング、レーザー、日々のスキンケアなど、様々な対策を試しても、なかなか改善しない「毛穴の悩み」。

そんなしつこい毛穴トラブルに、美容クリニックでは「イソトレチノイン」という内服薬(飲み薬)を用いた治療をご提案することがあります。

重症のニキビ治療薬として知られるイソトレチノインですが、実はその強力な作用が「毛穴」にも非常に高い効果を発揮することがわかっているのです。

この記事では、イソトレチノインがなぜ毛穴に効くのか、そのメカニズムと治療のメリット、そして必ず知っておくべき注意点について詳しく解説します。

イソトレチノインとは?

イソトレチノインは、ビタミンA誘導体の一種で、医師の処方が必要な医薬品です。 日本では重症ニキビの治療薬として使用されることがほとんどですが、美容クリニックではニキビや皮脂トラブル、そして毛穴の改善を目的として、自費診療で処方されています。

主な作用は以下の3つです。

  1. 皮脂腺の縮小と皮脂分泌の強力な抑制
  2. 皮膚の角化(ターンオーバー)の正常化
  3. 抗炎症作用

なぜイソトレチノインが「毛穴」に効くのか?

毛穴が目立つ主な原因は、「皮脂の過剰分泌」と「毛穴の詰まり」です。イソトレチノインは、この2つの根本原因に直接アプローチします。

1. メカニズム①:皮脂分泌を「元から」断つ

毛穴は皮脂が排出される「管」です。皮脂(アブラ)が過剰に分泌されると、皮脂の出口である毛穴は常に押し広げられた状態になります。これが「開き毛穴」や「テカリ」の正体です。

イソトレチノインは、皮脂を作る工場である「皮脂腺」そのものを縮小させ、皮脂の生産量を強力に抑制します。

Point:

  • 皮脂腺が小さくなる → 皮脂の分泌量が激減する
  • 皮脂の出口(毛穴)が広がる必要がなくなる → 毛穴が引き締まり、目立ちにくくなる
  • 顔全体のテカリやベタつきが根本的に改善される

これは、一時的に皮脂を拭き取ったり、表面的なケアで抑えたりするのとは異なり、「皮脂が出にくい肌質」へと導くアプローチです。

2. メカニズム②:毛穴の「詰まり」を防ぎ、ターンオーバーを正常化

詰まり毛穴」や「黒ずみ毛穴」は、毛穴の出口付近の皮膚が厚くなり(角化異常)、古い角質や皮脂がうまく排出されずに「角栓」として詰まってしまうことが原因です。この角栓が酸化すると、あのイヤな黒ずみになります。

イソトレチノインは、皮膚のターンオーバーを正常化する作用があります。

Point:

  • 毛穴の出口の角化異常を改善する
  • 古い角質がスムーズに排出されるようになる
  • 皮脂と角質が混ざった「角栓」ができにくくなる → 詰まり毛穴・黒ずみ毛穴が改善する

皮脂の量(中身)と毛穴の出口(フタ)の両方にアプローチできるため、イソトレチノインは特に皮脂や詰まりが原因の毛穴トラブルに対して、非常に高い改善効果が期待できるのです。

イソトレチノイン治療のメリットと注意点

高い効果が期待できる一方で、イソトレチノインは強力な薬剤であり、必ず医師の管理下で使用する必要があります。

メリット

  • 高い改善効果: 他の治療(ピーリング、レーザー、外用薬など)で効果を感じられなかった方でも、劇的な改善が見込めます。
  • 皮脂トラブルの根本改善: 毛穴だけでなく、テカリやベタつき、それによる化粧崩れなども解消されます。
  • ニキビの改善: 毛穴とニキビの両方に悩んでいる方には、一石二鳥の治療となります。
  • 効果の持続性: 内服終了後も、皮脂が抑えられた状態が一定期間持続しやすいと言われています。

⚠️ 必ず知っておくべき注意点(副作用・禁忌)

イソトレチノインは、以下のような副作用や禁忌事項があるため、専門知識を持った医師の診断と説明が不可欠です。

  • 催奇形性(さいきけいせい):
    • 最も重要な注意点です。 妊娠中または妊娠の可能性がある女性が内服すると、胎児に深刻な奇形を引き起こすリスクが極めて高くなります。
    • そのため、内服中および内服終了後も一定期間(通常6ヶ月)は、厳格な避妊が必須です。
    • 授乳中の方も内服できません。
  • 乾燥:
    • ほぼすべての方に、皮膚、唇、目、鼻などの粘膜の乾燥が起こります。リップクリームや保湿剤による徹底した保湿ケアが必須です。
  • 血液検査の必要性:
    • まれに肝機能障害や中性脂肪値の上昇が起こることがあるため、治療前と治療中は定期的な血液検査が必要です。(当院ではイソトレチノイン開始時と2ヶ月に1回の採血を実施しております)
  • 光線過敏症:
    • 肌が紫外線の影響を受けやすくなるため、日焼け止めなどによる紫外線対策を徹底してください。
  • その他:
    • 初期増悪(一時的なニキビの悪化)、筋肉痛、頭痛、脱毛(まれ)などが報告されています。

ネス駒沢クリニックでのイソトレイン治療の流れ

ネス駒沢では安全に治療を受けていただくために、以下のステップで慎重にイソトレチノイン治療を進めます。

1.カウンセリング・診察

お肌の悩み、毛穴の状態を医師が丁寧に診察します。イソトレチノインが適しているか、他の治療法が良いかを判断します。

2.適応の確認とご説明

治療の効果、副作用、禁忌事項(特に妊娠・避妊)について詳細にご説明し、ご本人の同意(同意書への署名)をいただきます。

3.血液検査

安全に内服を開始できるか、肝機能や脂質の値などをチェックします。

4.内服開始

安全に内服を開始できるか、肝機能や脂質の値などをチェックします。

5.定期的なフォローアップ

1ヶ月に1回程度ご来院いただき、お肌の状態、副作用のチェック、血液検査(必要時)を行います。

イソトレチノインとおすすめの美容施術

イソトレチノインは、皮脂や角化を「内側から」コントロールする治療です。これに「外側から」のアプローチである美容施術を組み合わせることで、毛穴や肌質をより効果的に改善へ導きます。

ただし、イソトレチノイン内服中は、肌が乾燥しやすく、デリケートで敏感な状態になります。そのため、施術の「タイミング」と「種類」を見極めることが非常に重要です。

【内服中】におすすめの施術 (守りのケア)

内服中は、強力な皮脂抑制作用により肌が乾燥しやすくなります。この時期は、肌に負担をかけず、「保湿」と「鎮静」を目的とした施術が中心となります。

目的: 乾燥対策、肌のバリア機能のサポート、ターンオーバーの補助

  • エレクトロポレーション(美容液導入):
    電気の力で一時的に皮膚に微細な通り道を作り、ヒアルロン酸やトラネキサム酸、成長因子などの高保湿成分や鎮静成分を肌の深部まで届けます。乾燥対策として非常に効果的です。

【内服終了後】におすすめの施術 (攻めのケア)

イソトレチノインの内服が終了し、皮脂がコントロールされ、ニキビや毛穴の詰まりがリセットされた状態。この「肌の土台」が整ったタイミングは、毛穴の「開き」や「ニキビ跡の凹凸(クレーター)」を治療する絶好のチャンスです。

目的: 皮脂が抑えられた状態で、毛穴の開き・凹凸・色素沈着を集中治療する

  • ダーマペン: 極細の針で皮膚に微細な穴を開け、肌の自然治癒力を利用してコラーゲン生成を促します。毛穴の開きや、ニキビ跡の凹凸をなめらかにする効果が非常に高い治療です。
  • ピコレーザー(ピコフラクショナル・ピコトーニング): 「ピコフラクショナル」は肌へのダメージを抑えながらコラーゲンを増やし、毛穴や小ジワを改善します。「ピコトーニング」は、ニキビ跡の色素沈着やくすみに効果的です。

イソトレチノイン治療で皮脂という「根本原因」を断ち、その後の美容施術で「残った悩み(開き・凹凸・色味)」を治療。
この二段階の治療は、長年の毛穴悩みを解消するための、ネス駒沢クリニックにおけるスタンダードな併用療法となっています。

ご自身の肌状態や目的にどの施術が最適か、医師にご相談ください。

本気で毛穴を改善したい方へ

イソトレチノインは、皮脂分泌を強力に抑制し、毛穴の詰まりを防ぐことで、「開き毛穴」「詰まり毛穴」「黒ずみ毛穴」に根本からアプローチできる治療法です。

  • 何をしても毛穴が改善しなかった
  • 皮脂が多すぎてテカリや化粧崩れに長年悩んでいる
  • 毛穴とニキビの両方を治したい

という方には、非常に有効な選択肢となります。

ただし、強力な薬剤であるからこそ、副作用や禁忌事項を正しく理解し、必ず美容皮膚科の医師の指導のもとで治療を受けることが絶対条件です。

長年悩み続けた毛穴トラブルから解放され、つるんとしたなめらかな肌を目指してみませんか?
ネス駒沢クリニックでは、お一人おひとりの肌質やライフスタイルに合わせた治療をご提案いたします。

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